中澤圭規

「船出」


あれは忘れもしないクルーザーを使った 海での撮影の日だった。

今回の撮影部は、照明パートも兼ねた4名体制であたっており、撮影監督に鍋島氏、照明を伊藤氏が担当していた。私は

主に鍋島氏に付き、伊藤氏には大和久氏が付いて というような感じで撮影は進んでいた。

この日はクルーザーを使うということで、乗船できるスタッフも限られてしまい、大海原での撮影を想像しつつも、私は

泣く泣く船出を見送った。どんどん小さくなっていく船を見つめていると、なんとも言えない悔しさが込み上げてきたが、

今回は仕方ないと思い 乗船したスタッフたちの健闘を祈った。

陸に残った他のスタッフも、きっと同じ気持ちだったのではないかと思う… だが、しばらくするとある人物がいないこと

に気付いた!

大和久氏である!!

彼は、私が皆のカッパやら機材の防水グッズをこさえている間に、ちゃっかり乗り込んでしまっていたのである。

伊藤氏もこっちにおるのになんでやねん!

と私は愕然としたが、時すでに遅し。彼は大海原の上である。

この時私は、自分に足りないものを気付かされた気がした。

後で怒られようが何されようが、遠慮している場合ではない。人生は短い、やりたいことはやるべきである。

この後、刺激を受けた私は 井土監督に「僕も伊勢で映画を撮りますから」と宣言し、映画はまだだが、TVドラマを

撮る事ができた。

とにかくやってみるもんである。


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