-マユミの誕生-

とある地方都市の駅前商店街。かつての活況は見る影もなく、店々は深く

シャッターを閉ざしたまま沈黙している。それを見下ろすかのごとく郊外に

聳え立つ大型店。その町で、マユミはささやかな幸せを望みながら暮らしていた。


ある日、妹のナオコが突然東京から戻ってくる。ナオコは絵描きになる夢に

挫折して故郷に帰ってきたのだった。変わり果てた商店街の姿に目を奪われつつ、

廃業した洋品店の実家に手荷物を置くナオコ。

その夜ナオコは、マユミと交際しているという梶川と偶然出会う。梶川の落ち着いた

雰囲気に好印象を抱くナオコだったが、翌日マユミから彼の勤め先が、郊外の大型

スーパーであることを聞かされて、激昂する。

「うちの商店街が寂れたんは全部あいつらのせいや!」

「それは逆恨みや、あの人が悪いわけじゃない!」

姉妹は激しく対立することになった。


そのいきさつを聞いた梶川は、釈明を試みようとクルーザーを駆ってナオコを

海へと誘った。自分の考えや立場を誠実に語る梶川。ナオコは誠意ある梶川の

態度に理解を示し、マユミとも仲直りをした。マユミは最愛の妹と平穏な日常に

戻れることを喜び、安堵の表情を浮かべた。ナオコも笑顔でこたえた。


しかし、ナオコは完全に納得したわけではなかった。

胸の奥のくすぶりは やがて激しい炎となって、ナオコを思いもよらぬ行動に

駆り立てるのだった……。


BACK