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ラザロ-lazarus-

◎解説◎
『ラザロ/蒼ざめたる馬』
元始、女性は太陽であった。今、女性はテロリストである――男の死体を見下ろす女、女、女! 
女たちの円陣が鮮烈に印象づけられるトップシーン。元は妹思いの素朴な田舎娘だったマユミも、
今や「金持ちのボンボンが一人死んだらその分世の中が平等になる」と嘯く革命家である。
愛(=神)の前に陥落したラスコーリニコフを冷笑する彼女は、理念による殺人を正当化し揺るぎない。
だが色恋という最も"女くさい"宿業によってグループが瓦解した時、
彼女はテロと「女」の間に横たわる齟齬の深さを思い知る。即ち『ラザロ』の通奏低音である。

『ラザロ/複製の廃墟』
三部作の掉尾を飾る本作にはマユミの実存を脅かす人物が登場する。マユミを盲目的に愛する女ナツエ(伊藤清美!)。
彼女は言う。「私は機械みたいに割り切って生きられやしない」。テロ/メロドラマが孕む矛盾を体現する彼女は、
燎原の炎の様に広がる経済テロも、男たちが紡ぐミステリー映画の意匠も、全てを経血の如き黒い情念で塗り潰す。
その愛が狙い撃ちするのは、恋した男の殺害を清算し切れないマユミの"女ごころ"だ。女たちが湿った性愛の匂いを漂わせ始めた時、
テロは美しい傷跡を残して終熄。だが血の風は決して止む事がない。
港岳彦(脚本家)

『ラザロ/朝日のあたる家篇』
こんなにも恐ろしいのにホラーじゃないんですよこの映画。ホラーって言ってくれた方がどれだけ楽に観れたか。
青春映画?って思う瞬間もあるけど、その罠にひっかかったら痛い目あいますよ。冒頭と最後に現れる工場の煙突、あれ気になりました。
吐き出す煙の流れが最初と最後じゃ違うんですよね。誰かをこの場へ導き、最後は送り出すメタファーともとれるんですけど、
この映画に導かれたあなたも観たあとでは全く違う人間として出て行くことになるってメッセージだと個人的には受け取りました。
マユミは"怪物"になれてほんとに良かった。そうじゃなきゃろくな人生歩んでなかったと思うから。
そういう意味では井土監督は恐ろしいけど優しい人なんだと思いますね。
佐藤佐吉(脚本家/監督)

ラザロ -LAZARUS-「蒼ざめたる馬」篇

 
監督井土紀州
出演東美伽・弓井茉那・成田里奈
脚本板倉一成・井土紀州
撮影鍋島淳裕
照明宮田耕嗣
録音菅武志
音楽花咲政之輔・太陽肛門スパパーン
仕上臼井勝
助監督葛西峰雄
プロデューサー木村文洋・吉岡文平
製作京都国際学生映画祭2003運営委員会 + スピリチュアル・ムービーズ

2007年/40分/DVCAM/カラー

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-怪物マユミ-

浴室に横たわる男の溺死体。その傍らで、息を切らせて立ちすくむ3人の女。
ミズキ、リツコ、そしてマユミ。
死体の男は、リツコがたぶらかして付き合い始めた金持ちの息子・尚志だった。
女たちは、資産家の子息たちを狙ってたぶらかし、殺害した後に、
殺した相手の預金を引き出して生活資金を得るという、奇妙な共同生活を送っているのだ。
マユミは言う。
「金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になる。それがこの社会のカラクリや」
不幸な生い立ちのミズキとリツコは、マユミに操られるまま、罪を犯していく。
だが、一番年下のミズキは、だまして殺すはずの相手・陽介のことを好きになり始めていた。
普通で幸せな生活、陽介との結婚という将来に淡い夢を抱き始めるミズキ。
一方、陽介は、尚志と連絡がつかなくなったことを次第に不審に感じ始める。
それを知ったマユミは、すぐさま次の行動をミズキに命じるのだったが……。

ラザロ -LAZARUS-「複製の廃墟」篇

監督 井土紀州
出演東美伽・池渕智彦・小野沢稔彦・伊藤清美
脚本森田草太・遠藤晶・井土紀州
撮影鍋島淳裕
照明伊藤学
録音近藤崇生・鳥居真二
仕上臼井勝
音楽監督花咲政之輔
音楽太陽肛門スパパーン
助監督葛西峰雄
制作進行桑原広考
プロデューサー吉岡文平
企画・製作スピリチュアル・ムービーズ

2007年/80分/DVCAM/カラー

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-マユミの孤独-

首都圏一帯に蔓延した大量の偽札は、日本経済に深刻な打撃を与えていた。
威信をかけた警察の捜査も、進展のないまま被害は拡大の一途を辿っていく。
モンタージュ写真の女を追って、日夜捜査に奔走するベテラン刑事松村と新米の相沢。
ある日、捜査中の2人は路上で激しい激突音を耳にする。
駆け寄ると、黒い車が猛スピードで逃走していくのが見えた。
現場には、年老いた男が血を流して倒れている。そして、その様子を遠くから見つめている白い日傘の女。
相沢は目撃証言を得ようと、その女のあとを追った。
蝉時雨の降り注ぐ公園でようやく追いついた相沢は、警察手帳を示した。
日傘を上げ顔を覗かせる女。その瞬間、相沢の全身に衝撃が走った。
女の視線に見入られたように動けなくなる相沢。
女は謎めいた笑みを残し、やがて静かに立ち去って行くのだった。
心奪われた相沢は呆然と後姿を見送ることしか出来なかった。
そんな中、偽札使用の実行犯が突然逮捕される。
執拗な取り調べの末、実行犯が口にした主犯の名は あまりにも意外な人物のものだった。
愕然とする刑事たち。
捜査は新たな局面を迎え、急展開をみせてゆく。
しかし捜査が進むに連れ、相沢の疑念は次第に増していくことになる。
あの日傘の女は、やはり偽札事件と何か関係があるのではないか……。
相沢は、そのことを確かめるべく単独行動をとり始めるのだった。

ラザロ -LAZARUS-「朝日のあたる家」篇

監督井土紀州
出演東美伽・堀田佳世子・小田篤
脚本西村武訓・吉岡文平・井土紀州
撮影監督鍋島淳裕
録音小林徹哉
音楽監督花咲政之輔
音楽太陽肛門スパパーン
助監督葛西峰雄
仕上臼井勝
制作担当桑原広考
制作協力西村宣剛
プロデューサー西村武訓・吉岡文平

2007年/81分/DVCAM/カラー

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-マユミの誕生-

とある地方都市の駅前商店街。
かつての活況は見る影もなく、店々は深くシャッターを閉ざしたまま沈黙している。
それを見下ろすかのごとく郊外に聳え立つ大型店。
その町で、マユミはささやかな幸せを望みながら暮らしていた。
ある日、妹のナオコが突然東京から戻ってくる。
ナオコは絵描きになる夢に挫折して故郷に帰ってきたのだった。
変わり果てた商店街の姿に目を奪われつつ、廃業した洋品店の実家に手荷物を置くナオコ。
その夜ナオコは、マユミと交際しているという梶川と偶然出会う。
梶川の落ち着いた雰囲気に好印象を抱くナオコだったが、
翌日マユミから彼の勤め先が、郊外の大型スーパーであることを聞かされて、激昂する。
「うちの商店街が寂れたんは全部あいつらのせいや!」
「それは逆恨みや、あの人が悪いわけじゃない!」
姉妹は激しく対立することになった。
そのいきさつを聞いた梶川は、釈明を試みようとクルーザーを駆ってナオコを海へと誘った。
自分の考えや立場を誠実に語る梶川。
ナオコは誠意ある梶川の態度に理解を示し、マユミとも仲直りをした。
マユミは最愛の妹と平穏な日常に戻れることを喜び、安堵の表情を浮かべた。
ナオコも笑顔でこたえた。
しかし、ナオコは完全に納得したわけではなかった。
胸の奥のくすぶりは やがて激しい炎となって、ナオコを思いもよらぬ行動に駆り立てるのだった……。